Question to the president
A. それは、”早い段階で小さな成功体験を積んで、業界へ定着する自信を持てるようになること”です。そのために効果的なのは、入社してまずは”型を覚えること”です。入社して2年くらいまでが目安です。特に最初の12か月の過ごし方が、後々の成長のスピードと関連します。
例えば、もし皆さんが柔道を始める時、「受け」を覚えずに乱取り(組み手)や試合に出たなら、思わぬ怪我や事故の元となる恐れがあるため、まずは「受けの型」を一通り覚えます。もちろん受けばかりでは、試合(本番)に出られませんので、次に「技」を覚えます。”頭で覚える”だけではなく、実務トレーニングにより、体で覚えていくこと( = 検証用PCを使って実際に操作してみること)が肝要です。そうして、プラクティスを重ね、いよいよ試合に出場していく(プロジェクトへ配属)ということになります。
ちなみにこの「試合に出るまでの期間(研修期間)」は、ずっとではありません。研修はいつかは終了し、本番に臨む日がやってきます。エンジニアとして、技術社員として、プロジェクトにデビューするということです。そこで、お客様の抱える課題に合わせ、それまでに習得した型、技を繰り出しつつ、日々現場で活躍していくこととなります。
この「型や技」を覚えるトレーニング期間は、学びの日々が単調であったり、人によっては『これに意味はあるのだろうか』と、ふと立ち止まってしまうこともあると思います。しかし、ここがポイントです。どんなにあこがれて始めた”習い事”でも、こうした『基本(型)を身に付ける期間』というものがあると思います。そこを突破して、”初期段階での成長”を完了できるかどうかが、その職業、その職種において定着・成長していけるかどうかと大きく相関していきます。
A. クラウドという「仮想OS基盤」が、データベースの役目を代替してくれる訳ではありません。クラウドは、仮想ホスト上のOSに過ぎません。DBはDBであって、OSではないため、DBを使う場合は、クラウドプラットフォーム上であったとしても、DBをその上に展開する必要があります。
OracleやMySQL、PostgreSQL、SQLServerなど、主だったDBは、オンプレミスだけでなく、クラウドでも稼働しています。例えばOracleですら、(オラクル社の戦略として)この10年、その稼働は、Oracle Cloud(OCI)と呼ばれる同社のクラウドプラットフォーム上で動作させることを前提とした営業展開となっています。競合他社も同じで、世界シェア2位のAWS(1位は現在Microsoft AZUL)では、MySQLやPosgtreSQLといったオープンソースDBを始め、ライバル製品のOracleやSQLServerまでも、RDSというサービス名で、AWS社のクラウドプラットフォーム上から提供されています。このように、オンプレミスからクラウドへといった、プラットフォームの変遷を経つつある今でも、未だデータベースというアーキテクチャへの利用ニーズは変っていません。
上記は、基幹DBなどを始めとした「トランザクショナルなデータベース」について特に当てはまる事象です。一方で、データウェアハウス(DWH)などの、データベース上の「ビッグデータ」を解析するようなシステム分野では、BIツールと呼ばれる製品カテゴリから、「AI」を用いたものへと置き換わりつつあります。既にAWS上でも、データベース(ビッグデータ)に対するデータ分析サービスを、AIによるエンジンで提供しています。DWHやBIなどのビッグデータ分析の業務分野は、もともと当社でもカバーしてこなかった領域であったため、当社の営業(既存顧客とのお取引)に影響するとは考えていません。
クラウドが台頭して10年が経過した今、私が言えることは「データベースは、ますます二極化してきた」ということです。
例えば「Oracleデータベース」は、ハイエンドユーザに特化しています。多国籍企業などの、大容量データ・大量の接続ユーザを扱う顧客にターゲットを絞っています。そのマーケットにおいて、DBへの一定の応答性能の他、セキュリティレベル・24時間365日の高可用性を担保できる製品は、Oracleが突出していると言えます。しかしそれ未満の規模感のマーケットでは、Oracleのライセンスフィーの負担が重みになってきているのではないかと感じます。そこは、DB2やSQLServerがライバルとしてしのぎを削っている他、特筆すべきは、MySQL/PostgreSQLといったオープンソースDBが、過去と比較しても考えられないくらい台頭してきているのが現状です。
当社の最重要顧客(商社系エンドユーザ企業)においても、基幹データベース(Oracle)を除いた部門レベルのそれは、PostgeSQLへの代替が急加速しています。現在、当社チームでは、その稼動中のPosgreSQL(数百サイト)へのパフォーマンスチューニングが、その顧客におけるカレントでの課題となっています。そのため、当社の担当技術社員も、Oracleのみならず、そうしたオープンソースDBへの技術面でのキャッチアップは、当然のこととなっています。
クラウドと言えど、従来のオープンシステム同様、ITシステムは、OSに始まり、アプリケーションサーバやデータベースサーバ等が一体となって初めて動作します。クラウド上のデータベース基盤周りの要素としては、キャパシティプランニング(スループット計算・5カ年先までのストレージ容量計算)、可用性・冗長性設計、性能試験や性能改善、といったものがあります。このように、メインプラットフォームがクラウドへシフトしている中でも、これまでと同じようにデータベースインフラ周りにおける専門的な知見や技術力が必要となっています。
メインフレーム(汎用機)のDBに代わり、1980年から台頭してきたRDBMSというアーキテクトが根本から無くならない限り、こうしたデータベースにまつわるエンジニアリングの領域は、これからも不偏のものである、というのが私の見立てです。(カラム型データベースという技術も、市場に出てきて10年になりますが、DBのシェアとしては主流というには小さなものに留まっています。)
※データベースエンジンの世界シェアは以下参考URLを参照ください。
■DBエンジンズ・ドットコム
https://db-engines.com/en/ranking
A. 勉強するなら「入社する会社が、社員に求めている技能や知識」を習得することが、その会社でスタートダッシュを決める上で最も効果的です。IT業界といっても、ものすごいカテゴリに分かれており、会社ごとに求められる技能には大きな違いがあります。そのような訳で、「IT業界で働くに先駆けて、今やったらよいと思うこと」としては、ITの勉強を初める前に、まず「どのITカテゴリで活躍したいのか」をはっきりさせることだと思います。
それが決まったら、そのカテゴリでの会社研究をしてみましょう。その会社が所属しているマーケットの状況や将来の予測、提供しているサービスの詳細、そのサービスの今後のトレンド、これらについて知ろうとすることは、とても有益だと思います。採用担当者からも、一目置かれると思います。
逆に、会社をしぼりこむことをせずに、IT全般の学習を始めるのは、全く無駄とは言いませんが、「他の就活生との差別化が図りにくい」と思います。
なお、一般論として、ITのどのカテゴリで働くにせよ、いま勉強して必ず役に立つのは、「ITパスポート」の資格取得だと思います。IT全体を知るにはよく網羅されており、もってこいだと思います。
A. データベース(RDB)というアーキテクチャは、1970年ごろからあったもので、急に注目されているものではありません。また、ここまで見て頂いたように、いわゆるDBソフトウェアだけの専門性だけでは、お客様の期待に応えられません。スペシャリストと呼ばれる次元に到達するには、ソフトウェア・ミドルウェア・ハードウェア全般に渡って、業務経験を何年も積み上げていくことが必要です。
会社に「専門性があります」と言っても、実際に技術サービスにあたるのは「人」です。新規参画を担う「人」が、こうした専門的技術サービスを行えるレベルに到達するまでには、個人レベルでの大きな努力と時間が必要です。
大手企業が「資本力を背景に参画する」「大量に生産して全国(世界)で売る」と言っても、そのDB基盤の専門エンジニアを、そのビジネス規模にマッチするほどの人数を揃えるには、相当の時間とお金がかかってしまいます。
私は、当社のこの事業域は、『弁護士事務所』や『専門病院』のようなものだと考えています。弁護士や医師など、簡単には追従できない専門知識と専門スキルを持ったスタッフが、サービスにあたっているような事業形態です。
従って、技術社員のひとりひとりが、「他社に簡単には追従できないくらいのDB基盤周りに特化した専門性(技能)と、経験を有する」ことが、社としても、個人においても、差別化・区別化へつながると考えています。
A. 私は創業経営者ですから、社長としての夢も個人の夢も同じで、それは「会社を成功させること」です。そして私の考える成功には、2つあります。
ひとつは、「社員ひとりひとりの成功を達成に導くこと」です。社会に役立つ人財を少しでも多く輩出することです。これはそのままに、組織の成功を意味するものとなります。
もうひとつは、「この組織を50年、100年と永続する企業へと押し上げる」ことです。自分が所属する組織の未来が、顧客の支持を背景に独立維持しつつ、これからも「成長・発展していく」としたら、誰もが安心して長く勤めることができます。そうした善循環を確立して、次の世代の経営者にバトンタッチしていくことが私の目標です。
そして、その経営にあたるのは、外ならぬ社員の皆さんの中から生まれたリーダーやマネジャーです。こうしたビジョンを体現していける”スペシャリスト”を、そして”部下育成や顧客獲得・維持に高い成果を出せる管理職”を、育成輩出していくことが、経営者としての私のミッションであり、人生の目的となっています。
A. バンド活動にあけくれました。ギターは大学1年生で初めて触れました。はっきり言えるのは、楽器は「練習量」がものをいう、ということです。私は、食事や勉強をしていない時間帯は、常にギターを握っていました。(1日8時間は欠かさず練習していました。)
1年ほどで、バンドを組んで、ライブハウスで活動をできるほどになっていきましたが、当初は、既存の楽曲のコピー(カバー)から始めていたことを覚えています。それは、「型」を身に付ける時期だったと思います。昨年の暮れに久しぶりにギターを出して弾いてみたのですが、25年が経った今もギターのコードが押さえられるのは、「体が覚えている」からなのだと思います。
私自身、エンジニア上がりの経営者であり、現役のデータベースエンジニアでもあるのですが、現場で技術社員が不足するときは、今でもスポットで手伝うことが可能です。技術者は、スキルとキャリアが生命線です。それまでに手に付けたスキルこそが、将来の人生の安定を担保できる、価値のあるものとなると私は考えています。
A. 自力で解決する、という想いや決意が基本ですが、結果的には周りの誰かに助けられて、乗り越えてきました。自分の力だけで何もかも解決できるというのは、ある意味「不遜なこと」だと今では理解しています。
自分の限界を知って「助けを求める」ことが大切です。助けを求める「相手」を選ぶことも重要だと思います。
A. 私は成功哲学の考え方を価値意識の中心に据えて生きてきました。そんな意味で、人材教育会社の創業者であり、教育家の青木仁志先生を尊敬しています。
それ以外では、かなり古い歴史上の人物ですが、千利休居士です。私が茶道をたしなんでいるという背景もあるのですが、利休居士が無くなって死後450年にもなるというのに、この茶の世界で感じる彼の存在感は、私にとってはもちろん、茶に学ぶ全ての門弟にとって、絶大なものがあるのです。
そんな、良き影響力を広く、あまねく及ぼせるリーダーでありたいと、私は思っています。